1960年代にポピュラー音楽を根本から変えたグループ、ビートルズの一人であり、ポール・マッカートニーとのソングライターチーム、レノン／マッカートニーのクレジットで世界中に愛される数多の楽曲を生んだ20世紀随一のシンガーソングライター。また、1970年のビートルズ解散前からスタートしたパートナーのオノ・ヨーコとのバンド、プラスティック・オノ・バンドの一員としてのアバンギャルドな作品を含む充実したソロキャリアや、「ベッド・イン」（1969年）に代表されるオノ・ヨーコとのセンセーショナルなパフォーマンス、さらには反戦活動家としての側面など、多岐にわたる活動や言動で、ポップミュージックと「イマジン」（1971年）に代表される平和思想をつなげたマルチアーティストである。1940年10月9日に英リバプールに生まれ、1962年にビートルズの「ラヴ・ミー・ドゥ」でデビュー。バンド解散の1970年までに13作のオリジナルアルバムをリリースし、1950年代中盤のイギリスを席巻したスキッフルブームの影響を受けて登場した米国産ロックンロールへの憧憬（しょうけい）色濃いアイドルバンドとしての枠を越え、内省的でメッセージ性のある自作自演の楽曲や、トータリティのあるコンセプトアルバムの制作とそれを可能にしたスタジオテクノロジーの積極的な導入など、それまでの音楽業界にはない変革を次々に起こしていった。原点への回帰ともいえる1975年のカバーアルバム『Rock 'N' Roll』以降、育児に専念するために一時音楽活動から遠ざかるものの、1980年に活動再開。オノ・ヨーコとの共作『Double Fantasy』を発表して、「(Just Like) Starting Over」や「Woman」といった穏やかな楽曲で復活を告げるが、同年12月8日、ニューヨークの自宅アパート前で凶弾に倒れてしまう。