マリリン・マンソンは自身が崇拝するデヴィッド・ボウイと同様に、常に進化し続ける幅広い文化的影響力を持っている。1969年生まれの彼（本名Brian Warner）は、1990年代初めにマリリン・モンローとチャールズ・マンソンの名前を合体させた奇抜なペルソナを生み出し、自ら結成したバンドも同じくマリリン・マンソンと呼ぶようになった。程なくしてナイン・インチ・ネイルズのトレント・レズナーが設立したレーベルNothing Recordsと契約すると、ユーリズミックスの「Sweet Dreams (Are Made of This)」の不気味なスローバージョンのカバーが初のヒット曲になった。その後間もなくマンソンは、1996年の『Antichrist Superstar』に収録された、権力や宗教をテーマにして物議を醸した楽曲の数々と過激なライブパフォーマンスのおかげで、1990年代の最も好き嫌いが分かれるバンドに名を連ねるようになった。音楽的には、ボウイのようにサウンドを自在に変化させ、ナンバーワンアルバムになった1998年の『Mechanical Animals』と2003年の『The Golden Age of Grotesque』の2作では、グルーヴを効かせたグラムメタル、粗削りなハードロック、ビート重視のシンセポップを取り入れた。さらに予想外のコラボレーターと交友を深めることで長年にわたってクリエイティブな進化も続け、特に作曲家のTYLER BATESと旧友のシューター・ジェニングスと組んだことで彼の音楽は常に新鮮かつ先進的であり続けた。そのためカニエ・ウェストの「Black Skinhead」がマンソンのヒット曲「The Beautiful People」を想起させたり、トラヴィス・スコットやリル・ウージー・ヴァートなどのラッパーも大ファンだと公言したりと、モダンヒップホップにも影響を与えているほか、彼のエレクトロインダストリアル・ハードロックの余韻はMotionless In Whiteなど現代のメタルコアバンドの中に鳴り響いている。