日本の音楽シーンにおいて、女性メンバーだけのバンドがお茶の間レベルでは珍しい存在だった1980年代末から1990年代初頭にかけて、ロックをベースに、ポップなメロディと等身大のライフスタイルを歌うことでリスナーの共感を集めたPRINCESS PRINCESS（以下プリプリ）。1986年に、奥居 香（岸谷 香、Vo/G）、中山加奈子（G）、富田京子（D）、今野 登茂子（Key）、渡辺敦子（B）の5人でデビュー。1989年の「DIAMONDS」でブレイクすると、同年に再リリースした「世界でいちばん熱い夏」や1990年の「ジュリアン」といったシングルだけでなく、1989年の『LOVERS』などのアルバムも立て続けに大ヒットを記録した。サウンドの中心を担う奥居による健やかで伸びのある歌声に、「M」などの優れた楽曲とライブパフォーマンス、メンバーたちの魅力的なキャラクターも相まって、プリプリは時代を象徴するバンドとして君臨した。彼女たちの大活躍が後続に与えた影響は大きく、1990年代はプリプリを一つの目標にしながら、数多くのガールズバンドが全国各地で生まれた。旧来的な男女観がまだ根強かった時代、プリプリはそうした価値観も変えていく大きなきっかけを与える存在でもあった。彼女たちの楽曲は結婚式や送別会で歌われるなど、時代を超えて幅広い層に愛されている。