スピッツ

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スピッツについて

スピッツの歌は、この現実の世界から少しだけ心を引き離し、魂を浮き上がらせてくれる。行き詰まった気持ちから解放され、悲しみや切なさが癒やされたリスナーは数え切れないくらいいるだろう。その魔法のような音楽の魅力が広く知られるようになったのは、1995年にリリースされた11作目のシングル「ロビンソン」がきっかけだった。プロデューサーに笹路正徳を迎え、草野マサムネのデリケートな歌声と繊細なバンドサウンドが最高の形で結実したこの名曲をはじめとして、同時期には「空も飛べるはず」「チェリー」といった楽曲もヒットし、彼らは一躍音楽シーンの最前線に躍り出たのだった。彼らの楽曲は、そのクオリティと叙情性が高く評価され、音楽の教科書にも掲載されるほど、広範なポピュラリティを得た。ただ、だからといって彼らの歌が健全そのものかというと決してそうではなく、むしろ人間の内なる欲望や偏った感情まで描いたものがあるのも特筆すべきだろう。初期の「うめぼし」などはその最たる曲で、各アルバムのどこかに必ず潜んでいるそうした暗部にこそ、スピッツの世界のただならぬ磁力がある。これはバンドの出自とも関係があるのかもしれない。「ロビンソン」でスピッツのことを知ったリスナーにとっては、彼らがもともとビートパンクのバンドだったことは意外な事実だろう。1987年に結成され、最初の目標はインディーロックの聖地でもある新宿LOFTに出ることだったという。1991年のメジャーデビュー当初も前のめりなビートが際立つ曲が多く、若さゆえの尖った勢いも感じさせる。コンサートのクライマックスで演奏されることが多い初期のナンバー「ヒバリのこころ」の快活さにも、その一端が表れている。2000年代以降に目を移すと、バンドは亀田誠治のプロデュース体制に移行し、打ち込みの導入などの試行錯誤も見られた。コンサートは長らくホールクラス以下の会場でしか行っていなかったが、2009年からはアリーナ公演も開始。その変化は、彼ら自身の成長の道筋そのもののように感じられる。年齢を重ねる中で、草野の歌が敏感にその時代の空気に反応しながら書かれていることも見逃せない。『小さな生き物』(2013年)では東日本大震災、「猫ちぐら」(2020年)、「紫の夜を越えて」(2021年)ではコロナ禍に向き合ってきた。応援歌が似合わないバンドだが、悲しみを抱え、疲弊している人にそっと手を差し伸べるような歌は、大人になった彼らが手にした新たな魔法のように思える。そしてそのマジカルな力は、ますます強さを増している。スピッツの歌は、いくつもの時代を越え、人々に愛されていく。

出身地
Tokyo, Japan
結成
1987年
ジャンル
J-Pop

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