Labyrinth

Labyrinth

ピアニストDavid Greilsammerが、時代も様式も異なる楽曲を組み合わせながら、それぞれの曲に次の曲へとつながる扉や抜け道が見つかるようなプログラムを練り上げ、リスナーを音楽の迷宮へといざなう。冒険はヤナーチェクの神秘的な楽曲で始まり、続くリュリの作品が私たちを旅へと誘い出す。ベートーヴェンのバガテルには米国の現代音楽家George Crumbによるキラキラしたサウンドスケープをはさみ込み、バッハの『The Art of Fugue』第1曲には、リゲティが20世紀終盤に書いためくるめくような練習曲を前後に配置することで、不思議と現代性を感じさせる。そしてこの迷宮の中央部には、グラナドス『Goyescas』の「El amor y la muerte(愛と死)」が鎮座する。焼けつくような感情の激しさを表現した名曲の後、サティの間にカール・フィリップ・エマヌエル・バッハを、現代カナダのOfer Pelzの間にフランスバロックのマラン・マレをはさむなど、アルバムはさらに大胆な展開を見せていく。冒険の最後にはスクリャービンの神秘主義的な音楽とJean-Fery Rebelの先鋭的なバロック音楽が連なり、リスナーを魅了する。一見脈絡のないプログラムがまるで一つの楽曲のように有機的に融合し美しく奏でられる様は、見事としか言いようがない。

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ