Adès Conducts Adès (Live)

トマス・アデスが2018年に発表したピアノ協奏曲は、境界線を押し広げながら同時に伝統も感じさせる作品。キリル・ゲルシュタインとボストン交響楽団がはつらつとした演奏を繰り広げ、優れた音質でライブ収録されている。バルトークやプロコフィエフのような茶目っけと活気にあふれる第一楽章には、ロマン派全盛のような雰囲気があり、雄大に上昇するピアノのグリッサンドや分厚い和音など、アデスの精密なスコアが光る。穏やかな第二楽章は、ビッグバンド・オーケストラのテイストが注入され、最終楽章では一転、オクターブ奏法によるピアノが荒れ狂い管弦楽が活気付く中、激しいフィナーレへと突入する。2013年に作曲された続く"Totentanz"は、バリトン、メゾソプラノ、そしてオーケストラのための作品で、幼児からローマ教皇まであらゆる階層が繰り広げる絵画「死の舞踏」を表現したもの。陰鬱さとウィットが入り混じる独創的な作風は、気高いマーラー作品やオルフの「カルミナ・ブラーナ」想起させるものだ。

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