追憶と指先

追憶と指先

「このアルバムがみなさんにとって、今日頑張ろうと思う活力になればうれしいです」。花澤香菜は7作目のアルバム『追憶と指先』についてApple Musicに語る。声優/アーティストとして活動し、2024年に声優デビュー20周年を迎えた花澤香菜。節目の年に放つアルバムのタイトルは自身で考案した。「“追憶”はこの20年間いろんな人に助けられながら歩んできた愛しい記憶のこと。そして“指先”は、遠い先のことは分からないけど、指先ほどの近い未来なら自分で何とかできるんじゃないだろうかという思いを込めました。私は本当にずっと、明日の自分のために今日頑張ろうという感じでやってきたので」 本作には、花澤が大きな信頼を寄せるプロデューサーの北川勝利(ROUND TABLE)をはじめ、沖井礼二、矢野博康、宮川弾ら初期作品から彼女を支える作家陣が参加。さらに菅原圭、真部脩一、Guianoといった気鋭のクリエイターも加わり、アーティスト花澤香菜の新しい魅力を引き出した。中でも「ドラマチックじゃなくても」は、現在の自分とシンクロする大切な一曲だという。「この曲はライブで歌う時、涙が出そうになっちゃうんです。ライブというかけがえのない時間を過ごせるのは、みんながいてくれるから。その尊さ、感慨深さを常に感じながら歌っています」。そしてGuianoが歌詞を手掛けた「Love Me」にも、等身大の思いが投影されている。「Guianoさんは私の過去のインタビューなどを見て、私の考えていることを歌詞に反映させてくださいました。『歩く平均台』というフレーズがあるんですけど、私は今もまさに平均台を渡り続けている感じがする。『死んでやるぜ』という強い言葉もありますが、“こちとら死ぬ気でやってるんだ!”みたいな(笑)めちゃくちゃ前向きなメッセージが込められていて、歌っていて元気になります」。負けず嫌いの性格で、デビュー当時からずっと自分を鼓舞しながら走り続けてきたという花澤香菜。「これまでの積み重ねがあってできた作品ですが、集大成というより、これからもいろんな曲を歌っていくぞという意欲を見せられたものになっていると思います」。ここからは花澤本人が、本作に収録されたいくつかの楽曲について解説してくれる。 あしたの向こう プロデューサーの北川勝利さんが、沖井礼二さんに「アルバムの1曲目を書いてほしい」とオファーしてくださり、まさに勢いよく第一歩を踏み出せるような曲になりました。沖井さんには初期から楽曲を書いていただいていますが、歌うのが本当に難しいんです。しかも毎回、ここまではいけるだろうという感じで、ハードルがどんどん上がっている。今回もまた難しくて、試練だなと思いました(笑)。 ドラマチックじゃなくても 声優としてアニメの主人公役を務め、さらに主題歌を歌うという、とても幸せな機会をいただけました。これまで多くのアニメのテーマソングを歌ってきましたが、アニメ作品と出会ったからこそ挑戦できたことがたくさんあります。アニメの曲を聴くと作品のことを思い出しますし、さらにその作品を観ていた頃の自分の思い出もよみがえるので、アニメと音楽はすごく相乗効果のあるものだなと思います。 ないものねだりのGreeDy 「五反田」という言葉を初めて歌いました(笑)。宮川弾さんが歌詞に込めたやるせない気持ちと、街の情景がすごくマッチして、とにかく歌っていて楽しいです。「しゃらんら」という歌詞を見た時はどういうことなんだろうと思ったけど、歌ってみると不思議となじむんですよね。曲中のセリフも宮川さんがディレクションしてくださって、「『ダメなとこ』はもう少し怒ってほしい」といったアドバイスを受けながらテイクを重ねました。 Circle この曲を作ってくださったシンガーソングライターの菅原圭さんによる仮歌がすごくカッコよくて。私が表現できるカッコよさは限界があるけれど 、私なりに歌うことが大事だなと思って、普段の何倍もの力を注いで歌いました。ライブで歌うとアドレナリンが出て、ちょっと疲れが出てきたところでもこの曲でまた盛り返せるほどすごいパワーを持った曲です。 VENUS REVOLUTION 真部脩一さんが所属されていた相対性理論が大好きで、カラオケで歌い続けてきたので、相対性理論に近い雰囲気を持つこの曲はとてもすんなりと歌えました。最初に歌詞だけ目を通した時はわりとシンプルだなと思っていたのですが、歌ってみるとエモくて、人生の大切なことを歌っている感じになるのがすごく不思議でした。

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ