沈香学

沈香学

“ずっと真夜中でいいのに”という、ハッとするような歌い出しの「花一匁」で幕を上げる3作目のフルアルバム。2018年の登場以来、音楽性や表現を拡張しながら進化し続けてきたずっと真夜中でいいのに。だが、バンドの本質は変わっていないことをこの曲は告げている。何かできそうな予感、うまくいかない焦燥、自分は特別じゃないと気付く失望、それでも消えない情熱。ACAね(Vo)の生み出す歌は、真夜中にまとまらない思考を巡らせる時間にぴったりと寄り添う。これまでのアルバムでは複数のサウンドクリエイターを迎えていたが、今作では総じて100回嘔吐が共同アレンジャーとなり、作品全体の統一感を高めている。日本語と英語を違和感なく混ぜたり、日本語を英語のように聞かせたり、ダブルミーニングなどのレトリックを多用したリリックはますます複雑になり、洗練された響きを持つ。そして最後に、ダビーな音像が印象的な「上辺の私自身なんだよ」でいつになくセンチメンタルな心情を語り、静かに深い余韻を残す。

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