最終兵器

最終兵器

タイトなライミングと巧みなフロウで聴く者を圧倒するラップスキル、刺激的で攻撃力抜群のリリック、社会のリアルを切り取ったテーマ、そして緊張感あふれるサウンド。ヒップホップ/ラップが持つそれらの魅力をダイナミックなスケールで表現し、そのポテンシャルを強烈に印象付けた金字塔的なアルバム。キングギドラが2002年にリリースした『最終兵器』にはそんな形容がふさわしい。1995年の『空からの力』で“日本語でタイトに韻を踏んでラップすること”の基準を高いレベルで示してシーンに衝撃を与えた後、KダブシャインとZeebraとDJ OASISの3人がそれぞれのソロ活動を経て再集結、マックスまで高まった期待値を軽々と飛び越えてみせたのが本作だ。あまりにも直接的かつ攻撃的な内容が大きな物議を醸した「公開処刑」、2001年にアメリカで発生した同時多発テロ事件をテーマにした「911」、窪塚洋介主演の映画主題歌としても話題になった「ジェネレーションネクスト」など、『空からの力』以上にシリアスなトーンになったラップスタイルを全面に押し出し、さまざまな物事の本質に鋭く迫る佳曲ぞろいの充実した内容に仕上がっている。また、INOVADER、DJ Watarai、D.O.I.といったプロデューサーの手によるトラック、BOY-KEN、童子-T、UZIといったゲストとの共演、『空からの力』のリリース後にマイクを握るようになったDJ OASISの渋いラップも聴きどころ。ポップなテイストを求めがちな風潮に一切迎合することなく、ヒップホップだからこそ可能な表現やスタンスに猛烈にこだわりながらスケールアップすることで、ヒップホップの枠をはるかに超えるインパクトを日本の音楽シーンに与えた傑作であり、日本のヒップホップ史に残る問題作だ。

キングギドラのその他の作品

国または地域を選択

アフリカ、中東、インド

アジア太平洋

ヨーロッパ

ラテンアメリカ、カリブ海地域

米国およびカナダ